研究概要 |
当初の研究計画: (1)椎間板髄核に含まれているTNF-alphaを腰神経根上に投与した際の腰髄後角に存在する二次ニューロンの応答の検討。 (2)抗TNF-alpha抗体を椎間板ヘルニアモデルに投与した際の腰髄後角ニューロンの応答の検討。 研究から得られた知見: (1)TNF-alphaを腰神経根上に投与すると投与後75分から対照(生食)に比して有意に大きく高頻度の腰髄後角ニューロンにおける異常発射が観察された。また、足底への侵害刺激に対する腰髄後角ニューロンでの有意な応答の増大が観察された。これらの結果は、TNF-alphaが椎間板ヘルニアによる根性坐骨神経痛と関連していることを示唆する。 (2)Pinch刺激後のスパイクは,Control群と比べNP群で髄核投与60分以降,その約6倍の増加と持続時間の延長が認められた(P<0.05).抗TNF抗体は,NP群で認められたスパイク後発射の増加をほぼ完全に抑制し,NP群で120分値が630.2±176%であったのに対し,NP+anti-TNF群では103.1±30%であった(P<0.05)(投与前のスパイク数を基準値(100%)として検討).Brush刺激に対しては,髄核投与後,刺激中と刺激後の両者で,スパイク数の変化は認められなかった.抗TNF抗体を椎間板ヘルニアモデルに投与すると、髄核投与によって惹起される腰髄後角ニューロンにおける異常発射が有意に抑制されることが判明した。この結果は、TNF-alphaが椎間板ヘルニアによる根性坐骨神経痛の発痛物質である可能性を示唆する。
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