研究概要 |
本研究課題「力学的環境が関節軟骨の変性に及ぼす影響」の目的は,関節の静的および動的不安定性による関節不適合性が関節軟骨の変性に及ぼす影響を検討することである.本年度は関節内骨折後変形治癒モデルを作製した. 日本白色家兎を対象として関節内骨折(脛骨プラトー骨折)後変形治癒モデルを作製した.静脈麻酔下に無痛状態として,膝正中切開で関節内へ進入し,外側半月板を関節包付着部で切離し脛骨外側顆部の関節面を露出した.脛骨に付着部する筋肉を剥離した.脛骨関節面から約5mm遠位部にスチール・バーで約3mmの幅で骨切除を行った.つづいて矢状断に外側顆部を骨切りし,外側顆部を切り離した.3mmの骨切除部分を圧迫し骨切り骨片を脛骨へ再固定した.固定方法として当初予定していた吸収ピンによる固定は,固定を要する骨片が小さいため十分な固定性が得られない等の技術的問題があることが明らかとなった.そこで,まず2.0mmケーブルを切断し細いケーブル線維を顆部へ巻き付けて骨片を固定した後に1.0〜1.2mmのマイクロボーンスクリュー2本で骨片を固定することでモデルが作製できた.最後に外側半月板をもとの位置へ縫合した.反対側の膝関節は,関節面に段差をつけずにケーブル線維によるワイヤリングとマイクロボーンスクリューで骨片を固定し半月板の処置をモデル側と同様に施行してコントロールとした.手術後8週で両側の膝関節を摘出した.コントロール側・モデル側ともに外側関節軟骨は肉眼的には著明な差を認めなかった.モデル側の外側顆部骨片は骨癒合していた.
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