研究分担者 |
宗圓 聰 近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (10142598)
福田 寛二 近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (50201744)
野中 藤吾 近畿大学, 医学部, 講師 (70268407)
王 正道 近畿大学, 医学部附属病院, 助手 (20319734)
原 文彦 近畿大学, 医学部, 助手 (30340798)
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研究概要 |
関節症は,関節軟骨を中心とした軟骨および滑膜の退行性および増殖性病変である.我々はその病態と活性酸素との関連性について検討してきた.さらに関節症と局所における機械的ストレスが軟骨細胞に及ぼす影響をin vitroで検討してきた.ヒアルロン酸は軟骨基質の重要な構成要素で,関節液の粘稠性に重要な役割を果たしており,関節症となるとその関節液中ヒアルロン酸が変性して低分子化が生じるとの報告がある.また,軟骨組織基質においてもヒアルロン酸はアグリカンモノマーを結合し基質の機械特性の維持に極めて重要な巨大分子であると考えられている.本研究では活性酸素種の一つであるヒドロキシラジカルに注目し,ヒアルロン酸の低分子化への関与を検討した.まず合成高分子ヒアルロン酸にヒドロキシラジカルを添加すると,ヒアルロン酸は低分子化した.この現象は,ヒドロキシラジカル中和剤であるジメチルスルフォキシド,シトルリンによって抑制された.ついで三次元培養した牛足関節軟骨細胞より分泌されたヒアルロン酸についても同様の実験を行い,同じ結果が得られることを確認した.さらに単層培養した軟骨細胞に反復性の機械的伸展ストレスを加え,ヒドロキシラジカルが発生することを示した.さらに,このヒドロキシラジカルは,軟骨細胞より分泌されるヒアルロン酸を低分子化することを証明した.また,機械的ストレスを加えることによりヒアルロン酸合成酵素(HAS)の誘導が認められたが,高分子量ヒアルロン酸を合成するHAS2のみが誘導されていた.これらの所見より,機械的ストレスにより軟骨細胞が発生するヒドロキシラジカルは軟骨基質変性を介して関節症発症の因子となりうることが示唆された.また,低分子化したヒアルロン酸が滑膜細胞を刺激し滑膜の活性化・炎症を促す可能性が考えられた.
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