研究課題
基盤研究(C)
平成14年度ヒトカルポニン遺伝子の平滑筋特異的なプロモーター領域を、HSV-1ウイルスの複製開始に必須な転写因子をコードするICP4遺伝子の上流に挿入し、さらにその上流に標識遺伝子lacZを、ICP4の下流にInternal Ribosomal Entry Site (IRES)-EGFPを連結した相同組換えベクターpKX2betaG3を構築した。このDNA断片をICP4欠失HSV変異体d120のリボヌクレオチド還元酵素(RR,ICP6)の遺伝子座に相同組み換え法を用いて挿入し、ICP4とRRの二重欠失変異体を作製した(d12.CALPΔRR)。in vitroのtitration assayとin vivoのヌードマウス背部移植腫瘍(平滑筋肉腫、悪性線維性組織球腫)に対する尾静脈内投与の系で、カルポニン遺伝子を発現しかつ活発に増殖している肉腫細胞で搭載したLacZ遺伝子とEGFP遺伝子が発現し腫瘍溶解活性を示すことを確認した。また、in vitroの培養細胞系で、d12.CALPΔRRの複製は抗ヘルペスウイルス剤であるganciclovir添加により容量依存性に抑制された。平成15年度d12.CALPΔRRベクターをヌードマウス(♀)眼窩下静脈より2×10^7p.f.u./マウスで投与し、経時的に血液、脳、心臓、大動脈、肺、肝臓、腎臓、脾臓、卵巣、膀胱を採取した。マウス血清中の複製可能なd12.CALPΔRRは24時間でほぼ消失した。また、肝、脾、肺組織から複製活性のあるd12.CALPΔRRは検出されなかった。投与後4日目およびそれ以降では、これらの組織でLacZ、ICP4ともに発現は認められず、病理学的にも明らかな組織障害は認められなかった。また投与後の血液生化学検査(肝・腎機能、糖・脂質代謝機能)では、d12.CALPΔRR投与による異常は認められなかった。次に、ヒト子宮平滑筋肉腫から肉腫細胞を培養してスキッドマウスに移植し腫瘍内へのウイルスの直接注入と静脈内への注入によって肉腫が治療できるかどうかを検討した。平滑筋肉腫の増大はd12.CALPΔRR治療によって有意に抑制された。また、腫瘍割面のX-Gal染色により、直接注入、静脈内注入ともに広範なウイルス増殖を認めた。
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