研究概要 |
18匹のラットをpHa=7.4,7.2,7.0の3群に分け(各群n=6)、それぞれのpHaになるように2規定の塩酸を持続静脈内投与した。その後、水溶性Forskolinを1,3,6μg/kg/minの速度で持続静脈内投与し、1時間後に各種循環のパラメーターを測定したところ、Forskolinは量依存性にCO, HR, Emaxを増加させ、SVRを低下させたが、BPはForskolinの投与量に影響を受けなかった。Forskolinの投与量による循環パラメーターの増加率を比較すると、COやEmaxの増加やSVRの低下はpHaに影響されなかった。 Hepes-Tyrode solutionのpHを7.4,7.0,6.6(各群n=10)に調節し、Forskolin濃度が10^<-7>〜10^<-3>Mとなるようcumulativeに投与したところ、organ bath内の左心房、右心室筋のisometric forceは、何れのpHにおいても有意に上昇した。右心室筋isometric forceの最大変化率はpHによる影響を受けなかったが、左心房筋のisometric forceの最大変化率は、pH=6.6の時が最大で(187±110%)pH=7.4(61±52%)より有意に大きかった。Forskolin 10^<-3>M投与時の細胞内cAMP濃度増加率は、右心室(pH6.6,128%;pH7.4,80%)、左心房(pH6.6,153%;pH7.4,154%)ともにpHにより影響を受けなかった。以上の結果は、水溶性Forskolinによる強心作用はpHによる影響を受けない事を示していおり、カテコラミンやPDEIII阻害薬の強心作用がpHの低下により強く抑制されることと異なっている。
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