研究課題/領域番号 |
14571437
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
五藤 恵次 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (00234980)
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研究分担者 |
伊達 洋至 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (60252962)
溝渕 知司 岡山大学, 医学部・歯学部付属病院, 講師 (70311800)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 肺移植 / 生体 / 再灌流傷害 / 一酸化窒素 / サイトカイン |
研究概要 |
岡山大学グループは平成10年に日本で初めての生体部分肺移植を施行し成功した。肺移植は心臓移植に比較しても術後急性期の死亡率が高い。肺移植後の急性期死亡の大きな原因の一つは虚血再灌流肺傷害であり,虚血再灌流傷害を予防する方法は肺移植の先進国である欧米においてさえ確立されていない。一酸化窒素(NO)は、酸素化能を改善し、再灌流傷害と移植後肺高血圧を予防する効果が発現することが期待されるが、使用に関しては意見が統一されていない。生体肺移植では、移植される肺が小さいために移植後に肺高血圧や再灌流傷害が発生しやすいが、生体肺移植の管理に関する研究はほとんどなされていない。我々は生体肺移植患者の救命率を向上させることを目的として、術中からNO吸入を開始し再灌流傷害を積極的に予防する治療方針を立て、周術期の生体肺移植管理を行った。国際心肺移植学会の統計によれば欧米の術後急性期死亡率は約20%、5年生存率は約45%と報告されている。岡山大学においては1998年から2004年4月までに計30例の生体肺移植を施行し、全例生存(術後1ヵ月から最長66ヵ月)している。術後管理が困難と考えられている生体肺移植にもかかわらず非常に良好な成績であった。推定余命が幾ばくもない末期の肺疾患患者にとって生体肺移植は脳死肺移植に勝る治療法となりうることを示すことが出来た。同時に、肺移植における再灌流傷害の病態の解明を目的として移植前後の血中サイトカインの変動を検討した。移植肺の再灌流直前よりNOの吸入(15ppm)を開始した。再灌流傷害に大きな影響を持つインターロイキン-6と好中球エラスターゼの血中濃度は術中の人工心肺中に有意に上昇し移植後も高値が持続した。一方、同様に肺傷害への関与が予想された血中TNF-αは移植前後で有意の変動を示さなかった。人工心肺の使用時間や虚血時間はインターロイキン-6や好中球エラスターゼの血中濃度と相関は示さなかった。今後は肺移植における虚血再灌流傷害をさらに軽減する治療法の開発が望まれる。
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