研究課題/領域番号 |
14571449
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 大分大学 (2004) 大分大学(医学部) (2002-2003) |
研究代表者 |
野口 隆之 大分大学, 医学部, 教授 (90156183)
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研究分担者 |
森 正和 大分大学, 医学部, 講師 (20220022)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 急性肺損傷 / VILI / HSP70 / ICAM-1 / 軽度低体温 / ウリナスタチン / 低・高体温 / HSP-70 / TNF-α / 低体温 / 炎症性サイトカイン / NF-κB / 急性肺障害モデル / 血液ガス / 気道内圧 |
研究概要 |
ARDSに代表される急性肺損傷には確立した治療法がなくさまざまな治療法が検討されている。動物実験での急性肺損傷を起こすと個体の体温により生存率が異なることが実験中に判明し、ラット誤嚥性肺炎モデルに脳損傷の急性期治療に使用される軽度低体温管理の、炎症初期段階の急性肺損傷の組織学的検討、好中球浸潤、MPO活性、ICAM-1発現への影響を検討した。また急性肺損傷の発症、増悪にVentilator Induced Lung Injury (VILI)の要因が大きく取り上げられているため、人工換気の肺でのHSP70の発現と肺メカニクスを示す気道内圧の測定を追加し低体温の血液ガスと気道内圧の経時的変化を検討した。更に軽度人為的低体温と薬物療法を比較し人尿トリプシンインヒビターのラット誤嚥性肺炎モデルでの急性肺損傷の治療効果を検討した。雄性SDラットを麻酔下に、気管切開し、人工呼吸器(ventilator model SN-480-7; Shinano, Tokyo, Japan)を用い、純酸素、1回換気量12ml/kgで呼吸回数60-70/分で換気し、炭酸ガス分圧を35-45mm Hg.で維持し、最高気道内の測定を行った。HClを投与した。HClの気管内注入の有無と体温により以下の4群を設定した。(1)常温群(38±0.3℃以下N群)、(2)軽度低体温群(33±0.3℃以下H群)、(3)HCl+常温群(AN群)、(4)HCl+軽度低体温群(AH群)。全群、6時間管理を行い、血液ガスの測定、最高気道内圧の測定をを経時的に追加した。血液ガスでは、AN群はHCl注入後低下状態が持続したが、AH群は注入直後一時的に悪化したものの、6時間目には著明に改善した。最高気道気道内圧はN群H群では上昇は見られなかったがAN群、AH群で著明に上昇した。しかしAH群では血液ガスは気道内圧が上昇したままであったが、PaO2の改善が見られ6時間後にはN群とほぼ同様になった。この結果により軽度低体温で肺メカニクスは改善しないが、血液ガスを著明に改善した。MPO活性はAN群に比較し、有意にAH群で抑制されており、組織像においても好中球集簇の抑制が確認された。ICAM-1は蛋白とmRNAの両方においてAH群で発現が抑制されており、免疫染色においても血管内皮細胞に対する発現の抑制が認められた。次に常温群(38±0.3℃以下N群)で生じた軽度の肺障害を解明するため人工呼吸器(ventilator model SN-480-7; Shinano, Tokyo, Japan)を用いて換気し最高気道内圧PAP 15cmH_2O (P15群)とPAP 30cmH_2O (P30群)を作成し、12、24、48時間換気後に麻酔単独群と組織学的検討、HSPの発現を検討した.P30群では組織学的障害とHSP70の発現、P15群ではHSP-70の発現のみが見られた。次に低体温に相当する薬物療法検討のため人尿由来トリプシンインヒビターの効果を検討したが、急性肺損傷の程度を軽減することが肺組織学的検討、好中球集積、TNF-α、MPOから示唆された。ラット誤嚥性肺炎モデルでのコントロール郡で確認された肺損傷は人工呼吸自体によりおこるVILIであることが確認され、このとき肺ではHSP70を誘導し急性肺損傷の発症と発症過程を示すことが示された。また今回の結果から軽度低体温の適切な臨床応用で急性肺損傷と人工呼吸によるVILIを軽減できる可能性が示され、薬物療法でも人尿トリプシンインヒビターが急性肺損傷の程度を軽減することが示唆され、薬物療法の検討も必要であると考えられた。
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