研究課題/領域番号 |
14571458
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
田中 義文 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (50079935)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 尿分泌経時的測定 / 尿浸透圧 / 尿中ナトリウム濃度 / 尿中カリウム濃度 / 尿尿素濃度 / 尿クレアチニン濃度 / 等張尿 / ナトリウム利尿 / 集中治療 / 腎機能連続監視 / 浸透圧 / 塩素イオン / カリウムイオン / マグネシウムイオン / 尿量監視 |
研究概要 |
集中治療における経時的体液水分管理において、今日の技術では患者の水分出納を数時間毎に計測し、また血液電解質、血液一般、尿素、クレアチニンなどに異常がないことを確認するのがルーチンワークとされている。今だカテコールアミン、アルドステロンやADHなどのホルモン分析は、検査費用が高額になるために、通常検査項目には至っていない。本研究は尿分泌量、尿中電解質、尿素およびクレアチニンを10分毎に計測するシステムを作成し、患者の腎機能の動態を尿分析から同定しようと試みた。結果であるが、上記検査項目において患者血液データは殆ど変化をもたらさず大変安定な範囲にととまっているものの、尿組成は時間尿の分泌速度に応じてダイナミックに変化していることが明らかになった。まず尿浸透圧であるが、浸透圧と時間尿との関係は反比例になる。これは、尿浸透圧が高くなれば尿分泌速度は低下し、逆に尿浸透圧が低い場合は尿分泌速度が増加することである。腎の再吸収能力には限界があり、決して蒿濃度で大量の尿分泌を行うことができないことが明らかになった。次いで、等張尿の電解質組成を見ると、尿ナトリウム濃度はおよそ110mEq/L、尿カリウム濃度は10〜20mEq/Lであり、血液電解質組成と近似した値を示した。成書によれば遠位尿細管での尿組成に近似した値を示し、その時の尿分泌速度はGFRの15%にも達するから、等張尿の意味は単に血液浸透圧と等張である以外に、遠位尿細管機能および集合管での水分再吸収機能が発揮しない状態と解釈すべきであり、これがナトリウム利尿の本質であることが明らかになったと同時に尿カリウム濃度は10〜20mEq/Lであることから、細胞外液補充液を大量に輸液すると血漿カリウム濃度が低下する原因も明らかになった。次いで、尿浸透圧が増加するに従って、尿中尿素、およびクレアチニン濃度は上昇するが、尿中ナトリウム濃度は低下し、560mOsmolで最小値60mEq/Lになり、その後は再び上昇する。また、尿中カリウム濃度は上昇し、560m08molで最高値の100mEq/Lになり、その後は再び低下する。即ち丁度血液浸透圧の2倍で最大の尿中ナトリウム吸収濃度、最大のカリウム排泄濃度を示すことが明らかになった。これらの現象は生理的な水分出納を考慮すれば当然な結果だと推定できる。即ち、ヒトでは2ml/kg/hourの水分を摂取し、1ml/kg/hourの不感蒸泄、1ml/kg/hourの尿排泄を行う。従って、電解質などの不揮発性物質を浸透圧と同じ量だけを摂取すると、尿排泄は浸透圧の2倍の濃度で排泄するのが最も効率のよい状態だと仮定できる。その状態でのナトリウム再吸収は最大であり、またカリウム分泌も最大になるのが、正常な腎機能の特性であると思量できる。また、正常腎であれば尿浸透圧が560mOsmolを境界値として脱水状態の判断を行うことが適当であることが明らかになった。
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