研究課題/領域番号 |
14571507
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
吉田 正貴 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (20201858)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 排尿障害 / 遺伝子治療 / 膀胱 / 低活動膀胱 / ムスカリン受容体 / エレクトロポレーション法 / 尿道 / 前立腺 / 一酸化窒素(NO) / NOS / 一酸化窒素 |
研究概要 |
近年、排尿機構や尿路平滑筋の生理・病態に対する分子生物学的アプローチにより神経伝達物質受容体やセカンドメッセンジャーの詳細な解析が進んでいる。本研究では膀胱・尿道機能にかかわるさまざまな神経伝達物質の受容体遺伝子などを用い、排尿障害の遺伝子治療の開発を行うことを目的としている。 SDラットを麻酔し、膀胱を露出し、膀胱前面と後面の奬膜下に、27G翼状針を用いルシフェラーゼおよびGFP発現plasmid DNAを注入後、電極にてelectroporationを行った。導入後2、30日目に膀胱を摘出し、ルシフェラーゼ活性を測定すると伴に、GFP発現を蛍光顕微鏡にて観察した。ルシフェラーゼ活性を指標とした至適条件は45V、50msec duration、1Hz、8pulseであることが判明した。GFPアッセイでは紫の蛍光が膀胱の深部の平滑筋層内まで観察され、この条件による遺伝子導入が膀胱全体に及んでいることが確認された。さらに、膀胱の組織をHE染色およびTunel染色を行ったが、遺伝子注入部に軽度の炎症所見が認められたが、筋層への影響は認められなかった。さらに、Tunel染色ではアポトーシスを示す細胞は軽微で、至適条件によるルシフェラーゼ活性は導入後30日目にも確認された。 同様の条件にてnNOS plasmid DNAの導入を行った。導入後3日目にnNOS抗体を用いた免疫染色を行うとともに、平滑筋条片を作成して筋浴槽内に懸垂固定して、NOx放出量をマイクロダイアリシス法にて測定した。免疫染色の結果nNOSの蛋白レベルでの発現が平滑筋層内まで観察され、NOx放出量が増加していることが確認された。 さらに200〜250gの雌性SDラットを麻酔下に、膀胱および骨盤神経叢を露出し、右側骨盤神経節を切除してdenervation膀胱(低活動膀胱)ラットを作製した。Denervation後のM3受容体数の経時変化を定量的リアルタイムRT-PCRを用いて観察し、M3受容体遺伝子導入時期検討し、denervation後12週目に遺伝子を導入することとした。導入後10日目に摘出膀胱のM3受容体数の定量、収縮反応実験および膀胱内圧測定を行った。M3受容体遺伝子の導入により、M3受容体数の有意な増加を認めた。また、摘出膀胱平滑筋のカルバコールとEFSに対する最大収縮反応の有意な増加が認められた。膀胱内圧曲線の結果では、偽手術群では規則的な排尿が認められたが、denervation群(12週)では偽手術群と比較して、排尿収縮力(圧)の有意な低下と排尿間隔と排尿時間の有意な延長が認められた。またdenervation群にエレクトロポレーション法にてM3受容体遺伝子を導入することにより、有意な排尿収縮圧の増加と排尿間隔の改善が認められた。 In vivoエレクトロポレーション法を用いたラット膀胱へのnNOSおよびM3受容体遺伝子導入法が有用であることが示された。また、M3受容体の過剰発現がムスカリン受容体を介した膀胱収縮を増強させ、低活動膀胱の治療法の1つとなる可能性が示唆された。
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