研究概要 |
腫瘍が体内で増殖及び転移していくためには、腫瘍血管の新生が不可欠である。低酸素応答性転写因子hypoxia-inducible factor(HIF)を介した遺伝子発現は腫瘍細胞自身の増殖能、腫瘍組織における血管新生のいずれにも関わっている。そこで、本研究では、腎細胞癌の腫瘍形成における血管新生と低酸素応答性転写因子hypoxia-inducible factor(HIF)の活性との関連を明らかにし、更にこのHIFを介する転写を抑制することにより腫瘍の増殖や進展を抑えることができるかについて検討を行った。 1.臨床試料の解析 可及的多数の手術標本として得られる腎細胞癌の臨床試料に関してHIF-1抗体およびCD34,VEGF抗体を用いて免疫組織染色をすることによりその局在と染色度を確認した。 2.HIF高発現細胞の基礎的検討 ヒト腎細胞癌細胞であるACHN, VMRC, Caki-1に対して、遺伝子工学的手法を用いてHIF-1を遺伝子導入し、低酸素応答性の高かったVMRCを用いてHIFの下流を検討した。VMRC-HIF細胞は、VEGFやGlut-1の発現が強く細胞増殖もより厳しい条件でも可能であった。 3.HIF高発現細胞のin vivoにおける腫瘍形成の検討 上記2の細胞をヌードマウスに移植し増殖及び血管新生を検討した。VMRC-HIF細胞は、血管新生が豊富なため増殖が早く中心壊死も少なかった。
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