研究課題
基盤研究(C)
前方視的検討として妊娠22週から妊娠24週の妊婦健診受診例と頚管短縮及び既往妊娠で頚管無力症が疑われた症例で、妊婦からインフォームドコンセントを得たうえで、膣分泌液及び頚管粘液中の炎症性サイトカインとその受容体を測定し、早産発生過程におけるサイトカインネットワーク動態と発症予知について検討した。結果:1)測定妊婦数は2462例であったが、母児合併症、分娩週数追跡不能例を除く対象妊娠例は1705例であった。2)妊娠34週までの早産発症予知に関して統計学的に、IL1β,IL8,TNFα,IL10,GM-CSFの関与は少ないと考えられた。ただし、IL1receptor antagonist, TNR可溶性受容体I及びIIの消去系に有効性があったことからネットワーク全体としては活性化されている可能性が強い。3)膣分泌物と頚管粘液を比較すると発症予知には頚管粘液の方が統計学的に有意で適していた。4)発症予知に有効であった頚管粘液中の各オッズ比はIL1receptor antagonist (Odds:1.95;95%C.I.1.19-3.20;p<0.012)IL6(Odds:2.24;95%C.I.1.19-4.19;p<0.022),TNR可溶性受容体I(Odds:1.96;95%C.I.1.11-3.45;p<0.03)及びII(Odds:2.06;95%C.I.1.25-3.41;p<0.008)であった。統計学的に有効性があったとは言え、検査費が高額なことから全例の妊婦にスクリーニングとして行うことはコスト・ベネフィットの面から疑問が残る。一方頚管短縮例や早産リスクが高い妊婦においては、治療開始前からサイトカイン高値例が多く治療開始後も持続的高値例では予後不良であることから測定患者を選択して検査すればより有効性が実証されると思われる。
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日本産科婦人科学会雑誌 第55巻第2号
ページ: 234-234
産婦人科の世界 55-7
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Nihon Sanka Fujinka gakkaizasshi 55(2)
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産婦人科の世界 第55巻7号