研究概要 |
子宮頚癌はHuman papillomavirus(HPV)の感染と密接に関連し97%以上にHPV DNAが検出され、特にHPV-16のhigh-risk HPVの初期遺伝子蛋白E6,E7は常に子宮頸癌細胞に発現している。これらのことより我々は子宮頸癌に対する特異的癌免疫療法の可能性を検討している。特にHPV-16のウイルス蛋白E6/E7が常に子宮頚癌細胞表面に提示されており、腫瘍特異抗原となりうることを我々は証明した(Murakami et al.,Cancer Research 59,1999)。しかしこのE6/E7蛋白を利用した免疫療法のIn vitroの実験では十分な抗腫瘍効果を得るところまではいかなかった。そこで抗原性をたかめるために有効なImmune Adjuvantが必要であると考え樹状細胞を今回は利用することにした。本研究では自己ヒト樹状細胞を利用することによってE6/E7蛋白やE7ペプチドによる子宮頚癌に対するCD8+CTL誘導の有無(In Vitroの実験)を健常者と子宮頸癌患者で比較検討したものである。子宮頸癌は宿主の免疫能に影響されるため、ペプチドやE6/E7蛋白による反応が健常者と同じであるかをまず検討した。HPV-16E7ペプチドはこれまでのHLAとのBinding Affinity検査の結果より、HPV-16E7(11-20、YMLDLQPETT)を10-50microgram/mlの濃度で使用した。またペプチドのPositive ControlとしてInfluenza Matrix M1(58-66,GILGFVFTL)を使用。平成14年度の結果をふまえ平成15年度はさらにHPV-16E7(86-93,TLGVCPI)のペプチドを使用し検討した。これまでの我々の実験ではペプチドの反応性は必ずしも濃度依存性にはならず、また年齢や腫瘍量とも相関しないことが判明した。今後はそのメカニズムを解明していきたい。
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