研究課題/領域番号 |
14571684
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
田澤 豊 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70048312)
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研究分担者 |
藤田 聡 岩手医科大学, 医学部, 助手 (60337152)
小林 貴樹 岩手医科大学, 医学部, 助手 (40326666)
後藤 寿裕 岩手医科大学, 医学部, 講師 (20285612)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2002年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 網膜電図 / 多局所網膜電図 / s波 / 網膜神経節細胞 / 網膜 / 緑内障 / 視野 / 多局所硬膜電図 / 神経節細胞 / 視神経炎 / ネコ / 網膜電気生理 |
研究概要 |
われわれは多局所網膜電図(mfERG)記録の際に光刺激頻度を低下させると、P1の下行脚に小さな陽性波が出現することを新たに発見し、この波をs波と命名した。 本研究はs波の性状を検討し、発生起源を確定した後に、その臨床応用を目指すものである。研究期間内に以下の結果を得た。 (1)ヒト正常眼のs波の記録至適条件を求めた。(2)s波は刺激頻度を低下させるほど振幅が増大した。(3)眼底の鼻側網膜からのs波が耳側のそれよりも、また視神経乳頭に近い網膜部位からのs波の方が振幅が大きく、頂点潜時が短かかった。(4)高年齢である程、また屈折度が大きい程、s波振幅は減弱した。(5)原発開放隅角緑内障眼では、s波振幅は正常眼よりも低下していた。(6)緑内障眼では視野計測による網膜感度が低いほどs波振幅が減弱した。(7)緑内障眼では、神経節細胞層の厚さが薄い網膜領域からのs波ほど、その振幅は小さかった。(8)視神経炎眼のs波は病態の変化と平行して振幅が増減した。(9)ネコ眼のmfERGにもs波が存在した。(10)ネコ眼の硝子体腔へ神経節細胞をブロックする薬剤を投与するとs波は消失した。(11)これらのs波の性状から、s波の起源は神経節細胞であることをほぼ確証することができた。(12)ネコ眼はヒト眼s波のモデルとして研究への使用が可能であることが判明した。(13)以上の研究成果は別紙の論文および関連学会において発表した。 本研究によって、われわれが発見したs波は、網膜神経節細胞をその起源としていることを確認した。眼科臨床において、網膜神経節細胞の機能を客観的に調べる方法は現在まで在していないので、s波の記録は神経節細胞機能の判定に有用な検査法となり得ると考える。
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