研究概要 |
分泌小胞膜モノアミン輸送に対しサイクリックGMP(cGMP)は促進的に,サイクリックAMP(cAMP)抑制的にに調節する。またcGMP,cAMPはともにテトラヒドロビオプテリン(BH4:モノアミン生合成,一酸化窒素生合成を調節する補酵素)の原形質膜輸送を調節する。 1.BH4膜輸送:BH4の原形質膜輸送には,細胞内から細胞外への外向輸送と,細胞外から細胞内への内向輸送に大別される。内在性BH4の外向輸送には3つの経路があるい1)イオン勾配依存性毒物排泄蛋白質(TEXAN)ファミリーに属する輸送担体を介する経路。cAMP,cGMP依存性プロテインキナーゼを介して輸送担体の原形質膜への移動が調節される。2)浸透圧に感受性をもつ経路。この経路はアクアポリンファミリーの輸送担体と考えられ,イオン輸送担体活性によって調節される。細胞の浸透圧調節や水輸送に重要な働きをするNaK-ATPaseやK+,Cl-イオン輸送担体の機能調節もBH4外向輸送に関わりを持つことが示唆された。3)ABC輸送担体ファミリーに属するATP依存性多剤耐性蛋白質(MDR)を介する経路。既知のMDRのcDNA配列をもとにsiRNAを作製し,関与する輸送担体を検討している。 一方,BH4内向性輸送活性は小腸上皮および腎において特異的に高いことを明らかにした。これらの組織に特異的に発現している原形質蛋白質mRNAを検索している。 2.分泌小胞膜モノアミン輸送:cGMPによる膜輸送促進は濃度依存的である。cGMPによる分泌小胞モノアミン輸送担体(VMAT)のリン酸化は検出されず,cGMPの作用はVMAT分子の直接のリン酸化によるものではなく,VMAT活性を調節するような蛋白質を介して起きると考えられる。この調節蛋白質はVMATの分泌小胞膜への移動を調節する機能を持つものと考えられる。
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