研究概要 |
AKAP/PKAを介したNa^+,K^+-ATPaseのリン酸化 1.ラット3大唾液腺(顎下腺,耳下腺,舌下腺)のAKAP-150およびA-キナーゼのRII調節サブユニットの発現量を調べると耳下腺に顕著であった。 2.3大唾液腺から得た細胞膜にcAMPを添加すると,耳下腺のNa^-,K^+-ATPaseのリン酸化が顕著に認められた。よって,AKAP/PKA複合体によるNa^+,K^+-ATPaseのリン酸化機構は3大唾液腺では耳下腺に特徴的であることを明らかにした。 cAMP/PKAを介したNa^+/K^+/2Cl^-共輸送体のリン酸化 1.Na^+/K^+/2Cl^-共輸送体の機能調節に関与するN-末端部分のリン酸化はPKAによって直接リン酸化されると考えられてきたが,in vitroの系で直接PKAを作用させても,N-末端部分はリン酸化されなかった。 2.パーメアビライズした耳下腺遊離細胞にcAMPを添加し,細胞内でPKAを活性化するとN-末端のリン酸化が認められた。したがって,N-末端はPKAをトリガーとするリン酸化カスケードによってリン酸化されることを明らかにした。 3.Na^+K^+/2Cl^-共輸送体の機能調節に関与するリン酸化部位と予想される合成ペプチドを添加し,競合的にリン酸化を阻害した結果,イオン輸送担体の機能はN-末端部分のThr-208のリン酸化によって調節されることを明らかにした。 4.Na^+/K^+/2Cl^-共輸送体のクローニングに取り組み,トランスフェクトされたE.coliを得ることができた。Thr-203,Thr-208,Thr-221にあたる部分をA1aに変異させたプラスミドを作製し,これらのプラスミドを発現ベクターに挿入し,宿主細胞に組み込む準備を整えることができた。
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