研究概要 |
考案した根管内破折器具の破折片と金属チューブをNd : YAGレーザーで溶接し,除去する方法について基礎的な検討を行うための実験を行った. 実験1 内径0.5mmの金属チューブ内に挿入した断端部の直径が0.35mmのKファイルの刃部に光ファイバー(直径=400μm)を接触させ,300mJ,400mJ,500mJ,600mJの条件で10pps,1秒レーザー照射したところ以下の結果を得た. 1.全例で破折ファイルと金属チューブの溶接が成功した. 2.500mJ群,600mJ群では金属チューブの酸化が顕著であった. 3.引張り試験では,400mJ以上の群では5kgf以上の破壊荷重が記録された. 実験2 内径0.5mmの金属チューブ内に挿入した断端部の直径が0.25mm,0.30mm,0.35mm,0.40mm,0.45mmのKファイルの刃部に400mJ,10pps,1秒の条件でレーザー照射したところ以下の結果を得た. 1.試料断端部の直径が0.30mm以上のものは全例が溶接されたが,0.25mn群では半数が溶接されなかった. 2.引張り試験では,直径が0.35mm以上のものは5.86kgf以上の破壊荷重が得られたが,0.30mm以下の群では有意に破壊荷重が小さい結果を示した. 実験3 髄室開拡した抜去歯根管内に断端部の直径が0.35mmのKファイル刃部を挿入し,根管内で400mJ,10pps,1秒の条件でレーザー照射した際の歯根表面の温度変化を測定したところ,温度上昇の最高値は14.5±2.87℃であった. 以上の実験結果からレーザーの照射条件や試料断端部の直径の違いが溶接状態に影響することが明らかとなった.また,生体内でも安全に使用できる可能性が示唆された.
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