研究分担者 |
山中 威典 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (20325202)
岡崎 正之 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30107073)
赤川 安正 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00127599)
日浅 恭 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60304432)
|
研究概要 |
平成14年度:表面改質の前処理として,チタン表面の汚染除去法について検討するため,ペルオキソニ硫酸ナトリウム,硫酸および塩酸による酸処理がチタン表面に及ぼす影響をX線光電子分光法(XPS)にて分析した。その結果,すべての酸処理においてチタン表面の汚染除去効果が認められ,中でも,塩酸処理で効果は最も大きく,チタン表面からClもほとんど検出されなかった。一方,ペルオキソニ硫酸ナトリウム処理および硫酸処理では,その構成元素の一つであるSが検出された。表面に存在する外来元素は,極微量であっても材料と分子の相互作用や分子の結合様式に影響を及ぼすことが明らかとされていることからも,チタン表面の汚染除去には塩酸処理が最も効果的であることが明らかとなった。 平成15年度:チタン表面への結合親和性の高いリン酸基に着目し,細胞接着分子であるRGDペプチドをリン酸化したRGDS(PO_3H_2)PAの精製を行った。しかしながら,実験に供する十分な量が確保されないため,基礎分子であるアミノ酸をチタン表面に化学的に結合させる可能性について検討した。その結果,塩酸にて処理したチタン表面に,L-threonineをリン酸化したO-phospho-L-threonineがチタン表面に安定的に化学結合することが可能となり,また,骨芽細胞の初期接着性も向上することが明らかとなった。 以上より,細胞接着分子を用いたチタンインプラントのバイオミメティック表面改質法を開発するための基礎的知見を集積できた。さらに,この改質がチタン表面に選択的に細胞接着分子を結合させる可能性も示唆できた。
|