研究概要 |
本研究の目的はウサギ頭頂骨にGBRの原理によるキャップを用いた人工的な空間を作り,キャップ内部にPRPと骨補填材の担体を入れて骨形成を行い,キャップ内の新生骨量を計測することによってPRPの骨形成促進効果を担体別に比較検討することである. 最初にPRPの採取法の検討を行った.次に,ウサギ頭頂骨にポリプロピレン製キャップを2個ずつ骨面上に設置し,キャップ内にコラーゲン,β-TCP,トロンビン・β-TCP複合体,アルギン酸ナトリウムを充填した対照群それぞれの担体にPRPを浸潤させた実験群で,8週目に非脱灰研磨標本を作製し,組織観察と新生骨を計測した.さらに,β-TCP・PRP複合体の経時的骨形成の観察を行った. 最適なPRP採取法は,ダブルスピン法で1回目:2400回転10分,2回目:3600回転15分で血小板濃縮率は13.5倍であった.どの担体においてもPRP(+)の実験群が,PRP(-)の対照群に比較してキャップ内の新生骨量が多かった.β-TCP・PRP複合体が他の群と比較して新生骨量が一番多かった.β-TCP・PRP複合体による骨形成過程において,PRPの効果は比較的早期に現れた. 本実験において,トロンビンを併用せずにβ-TCP・PRP複合体で骨形成促進効果が確認されたことより,臨床においてもβ-TCP・PRP複合体単独で骨形成が促進されると思われる.また,動物由来のトロンビンを使用しない本方法は,未知のウィルスの感染や,血液凝固異常を予防することができるため有用だと思われた. 4,8週においてPRP/β-TCP複合体とCCEF刺激によるモデルの方がPRP/β-TCP複合体に比べて骨の増生量は多かった.また,CCEF刺激法の新生骨形成促進効果と骨の緻密化も認められた.
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