研究概要 |
直流電源を有する試作プラズマ発生装置(初期電圧:400V,電流密度0.2mA/mm^2)を用いて,低温プラズマ(CP)処理がJIS2種チタンならびに歯科用Ag-Pd合金の表面へ及ぼす影響,また被着面に対するレジンセメントの接着性を引張接着試験から評価し,さらに金属接着性プライマーの吸着状態に及ぼす影響について検討した. チタンに対するCP処理は,チタンの表面形態を変化させずに,レジン系セメントに対する顕著な接着性の向上を示した.しかし,Ag-Pd合金に対するCP処理では,プラズマ・エッチング効果により生じた顕著に粗?化された表面がSEM像により観察された.CP処理時間は,チタンに対しては3分間,Ag-Pd合金に対しては10分間が接着性向上に最も有効であった.さらに,歯科臨床を想定した唾液で汚染された被着面に対して,CP処理は研磨面だけでなく粗造なサンドブラスト面に付着した唾液も除去し,高い接着強さを再現させることが可能であった.FT-IRによるIRAスペクトルの結果からも,CP処理は金属表層の汚染物質を除去し,金属接着性プライマーに対する反応性を高めることが示唆された. チタン表面のCP処理は,歯科接着技法における接着前処理として有効な表面処理方法であることが判明した.
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