研究概要 |
BMP(骨形成因子)の大量生産、スキャフォールドの選択、膜状スキャフォールド上での軟骨組織誘導、宿主再移植による新生骨誘導について実験を行なった。BMP(骨形成因子)の生産は安定しており、月生産量は1000mgを最低でも確保している。BSE問題の影響により本研究からは牛皮質骨からの抽出にかわり、出発原料を豚骨とした。生理活性には全く問題がないことを確認した上で実験に供した。in vivo, in vitro両者の環境において機能を発揮する高分子材料をスクリーニングした。対象とした高分子はアテロコラーゲン、ゼラチン、アガロース、ポリサッカライド,PLA-PLGA共重合体,ポリエチルメタクリレート,Poly Tetra Fluoro Ethylene,メチルセルロースである。スキャフォールドのスクリーニングにより、BMPのキャリアーとして優秀な材料は多くセレクトされたが、最終的には培養系で安定しているPoly Tetra Fluoro Ethylene膜を採用した。PLA-PLGA共重合体ならびにポリエチルメタクリレートは本研究の未来には有望な材料である事が示唆され、今後の実験課題となった。非高分子系材料として多孔質チタンについても前実験を行ない、骨芽細胞系細胞の培養が可能であることが証明された。Poly Tetra Fluoro Ethylene上での未分化筋組織培養は、BMGと同様にBMP(骨形成因子)の誘導能により軟骨を誘導する事が可能となった。ただし、培養系では誘導された軟骨が骨化することはなかった。この培養系をラット皮下に再移植する事により新生骨の誘導に成功し、実験の目的を達成した。報告書提出を延長して行なったBMP(骨形成因子)の残留は、全く認められない事が確認された。この成果により培養系から生体内での組織誘導の道が開かれたものと考える。
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