研究分担者 |
根本 優子 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (10164667)
木村 重信 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10177917)
相澤 文恵 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (80216754)
米満 正美 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (80092451)
森谷 俊樹 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (50316395)
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研究概要 |
歯周疾患健全者55名を対象として、ガスセンサーによる口臭測定、唾液流出量および舌苔付着量の測定ならびに生活習慣の聞き取り調査を行った。その後、舌苔試料からゲノムDNAを抽出し、菌種特異的プライマーを用いたPCR法によりPorphyromonas gingivalis,をはじめとする数種の歯周病原性細菌の検出を行った。各歯周病原性細菌の有無を目的変数とし、口臭、口腔内診査結果ならびに生活習慣を説明変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。それら結果をもとに歯周病原性細菌の舌苔への定着が予測できるか検討したところ、P.gingivalisの舌苔への定着に関しては検査前確率0.255に対して検査後確率0.750、尤度比8.79と高い有効性を認めた。さらに口臭測定値のみからP.gingivalisの舌苔への定着を予測する方法を開発し、ガスセンサーによる測定値が約300ppb以上では歯周病健全者中の舌苔にP.gingivalisが高い確率で定着しており,約100ppb未満の場合には定着している確率が著しく低いことを示した。 85歳高齢者の舌苔試料を分析したところ,齲蝕病原性細菌であるStreptococcus mutansとStreptococcs sobrinusがそれぞれ52.1%,45.5%の者から検出され,歯周病原性細菌であるB.forsythus, P.gingivalisおよびT.denticolaがそれぞれ63.0%,50.3%および37.6%の者から検出された。その検出率はS.sobrinusでは床義歯装着者で有意に高く,歯周病原性細菌では有歯顎者で有意に高かった。さらに口腔内気体中の3種類の揮発性硫黄化合物濃度は,若年者とは異なり,T.denticolaの存在と有意な関連を呈した。以上より,若年成人と高齢者では,口臭にかかわる要因が細菌学的に異なることが示唆された。
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