研究分担者 |
山本 松男 鹿児島大学, 生命科学資源開発研究センター, 助教授 (50332896)
四元 幸治 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20295265)
町頭 三保 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80253897)
八重垣 健 ブリティッシュコロンビア大学, 歯学部, 教授
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研究概要 |
口臭の主要な原因物質であるメチルメルカプタンは歯周ポケット内で産生され,歯周病罹患部位において歯周組織破壊に関与する可能性が示唆されているが詳細は不明である。そこで,我々は,メチルメルカプタンの歯周組織細胞への影響を調べ,歯周病増悪因子として作用する可能性を検討した。その結果,メチルメルカプタンがKB細胞やHSC-2細胞等の上皮系細胞に対し細胞増殖抑制作用および細胞障害性を有することが明らかとなった。また,HL-60細胞やU-937細胞等の単球系細胞に対しても上皮系細胞に対してと同様に細胞増殖抑制作用および細胞障害性を有していた。さらに,これがアポトーシスによるものかネクローシスによるものかを検討した結果,主にネクローシスによることがわかった。また,HL-60細胞とU-937細胞をPorphiomonas. gingivalis由来のLPS存在下あるいは非存在下でメチルメルカプタンを作用させIL-1β,IL-6,TNF-αの産生に及ぼす影響を検討した。その結果,LPS非存在下ではいずれの細胞もIL-1β,IL-6,TNF-αの産生量は低く,メチルメルカプタンの有無にかかわらず差は認められなかった。一方,LPS存在下では,U937細胞において,メチルメルカプタンを作用させると,IL-1β,IL-6,TNF-αの産生量の有意な増加が認められた。このことより,メチルメルカプタンは,免疫系細胞による炎症性サイトカイン産生を増強することが示され,歯周病の発症や進行に深く関与する可能性が示された。今後さらに,メチルメルカプタンの歯周病増悪因子としての作用を詳細に検討していくことは歯周病の発症や進行のメカニズムを解明する上でも,さらには歯周病の予防法を確立する上でも大きな意義を持つと思われる。
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