キーワード | 4-アルコキシブタジエン / ペンタ-2,4-ジエナール / アルデヒド / ノナ-2,4,6,8-テトラエナール類 / リチオ化 / セレン化合物 / 2,4-ペンタジエナール / 1,2-bis(sulfenyl)-1,3-butadiene / イオウ置換基 / 2,4,6,8-tetraenal 誘導体 / 加水分解 |
研究概要 |
著者はまず新規なブタジエンを合成し、4炭素ホモロゲーションへ応用可能なジエン類を検索した。種々のジエン類を合成した結果、1および2位にイオウやセレン官能基を導入したブタジエン類で良い結果が得られることを見出した。原料のブタジエンの合成は著者のオリジナルな方法を開発した。フェニルプロパルギルスルフィドをエチルマグネシウムブロミドでアセチリドとした後、オルトギ酸トリエチルを加えて還流下反応を行なうと、4-フェニルスルフェニルあるいはセレネニルブト-2-イナールを良好な収率で与える。これを、ナトリウムエトキシドでアレニルスルフィドあるいはセレニドに異性化させた後、チオフェノールまたはメチルメルカプタンナトリウム水溶液を加えるとアレン中心炭素への求核攻撃が進行して3,4-ビススルフェニル-3-ブテナール類が定員的に得られる。これを、t-ブトキシカリウムで脱エタノール化反応を行いジエン類に変換する方法で目的の化合物を合成した。同じ手法でセレン誘導体も良好な収率で合成することができた。 次に、これらブタジエン類を用いたアルデヒド類のペンタ-2,4-ジエナール化反応を検討した。1-フェニルスルフェニル-2-メタンスルフェニルブタ-1,3-ジエンをDABCO/n-BuLiを塩基としで-50℃下で反応させると比較的良好にリチオ化が進行し、アルデヒドとの反応の結果、付加したアルコール誘導体が得られることがわかった。1,2-ビスフェニルスルフェニルブタ-1,3-ジエンはLTMPを用いた場合が最もアルコールの収率が良かった。酸による加水分解は閉環反応が優先して進行することから、他の方法を検討したところ、SOCl_2/pyridineの試薬が最もよく、3,4-ビススルフェニルペンタ-2,4-ジエナール類が得られた。セレン誘導体もほぼ同じ合成法でアルデヒド類の3-スルフェニル-4-セレネニルペンタ-2,4-ジエナール化に成功した。著者は次に、2,4-ビスフェニルスルフェニル-2,4-ペンタジエナール化を繰り返し行なうことで、ノナ-2,4,6,8-テトラエナール誘導体の構築を検討した。ピバルアルデヒドから合成したペンタ-2,4-ジエナールに対してもう一度ブタジエニルリチウムを反応させると、付加したアルコールが異性体混合物として得られた。これを同じSOCl_2/pyridineで処理すると目的のテトラエナール類が満足のいく収率ではないが、得られた。これは2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンへ変換することで、赤色結晶として単離することに成功した。今後、これらのテトラエナール類の物性について調べていく予定である。
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