研究概要 |
1.水中で利用できる機能性縮合剤の合成に必要な技術開発 本研究に必要な分子認識能を有する脱水縮合剤は,塩素イオンの求核性に起因する分解のため単離精製が困難であったので,トリフラートを対アニオンに有する誘導体の簡便な合成法を開発した。 2.クラウンエーテルを用いたシクロトランスフェラーゼモデルの開発。 タンパク質の安定化に寄与しているピログルタミン酸の合成を触媒するシクロトランスフェラーゼのモデルを開発した。すなわち,18-クラウン-6を用いて1級アミノ基に特異的で,炭素鎖長をも認識できる人工酵素として働くことを示した。 3.長鎖脂肪酸に特異的なアシルCoA転移酵素の開発 生体膜の界面に特化した脂質合成酵素のモデルとして,アシルCoA合成酵素ならびにアシル基転移酵素の開発を行った。このモデル系では局所濃縮効果と,前配向性効果によって反応が2000倍近く加速されることを示した。 4.反応場を二相分離した系を利用した基質特異性の発現 ホスト化合物の分子設計や合成などの煩雑な問題を解決し,更に非特異的な分子間反応を抑制するために,水-有機溶媒の二相系を用いた単純な反応系で,酵素モデルと同様の選択性を発現させることに成功した。 5.酵素モデル触媒の利用を志向した新しい固定化法の開発 高価な酵素を担体へ固定化すれば,分離精製と再利用が効率よく行えるので,合成化学的な利用が可能となる。また,反応の自動化やコンビナトリアル合成の観点からも反応剤の固定化は重要である。そこでトリアジン型脱水縮合剤のまったく新しい二つの固定化技術「(1)固相吸着法(2)ポリマー型脱水縮合剤」を開発した。 6.フルオラス溶媒を利用した無保護アミノ酸を用いたペプチド合成 フルオラス溶媒を用いた液-液二相系で,フルオラス脱水縮合剤と無保護アミノ酸によるペプチド合成のモデル化に成功した。
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