研究概要 |
1.非同期型コイル・プラネット遠心機(Nonsynchronous Coil Planet Centrifuge(CPC))によるタンパク質の分離 水性二相溶媒を用いたタンパク質分離を例として最適分離条件の検討とカラムの自転及び公転が分離に及ぼす影響を検討した。カラムは容量の異なる3種類の多層コイル(11,24,39mL)、水性二相溶媒は12.5%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000/12.5%(w/w)リン酸二カリウム水溶液、試料は(Cytochrome C、Myoglobin、Lysozymeを用いた。その結果、容量39mLのカラムにより公転800rpm、自転10rpmでhead to tail elution modeで行うと良好な分離が得られた。また、偏心コイル(eccentric coil)でも同様な結果が得られ、tail to head elution modeでは固定相は全く保持されないことがわかった。更に、公転800rpm、移動相流速0.2mL/minで自転速度を10-60rpmで変化させたところ、下層を移動相として自転と公転を同じ方向で行うと、上層を移動相とした場合とは異なり、自転速度を上げるにつれて固定相保持率が減少し、分離に影響を及ぼすことがわかった。 2.Nonsynchronous CPCによるヒツジ及びヒト血液細胞成分の分離 ヒツジ血液を用いて公転800rpm、自転10rpmにより等張リン酸塩緩衝液(pH7.4)を分離用溶媒としてカラムの回転方向を検討した。その結果、タンパク質分離で下層を移動相に用いた場合と同様に、公転と自転を異なる方向で行うことにより血液細胞を分離できることが示唆された。そこで、公転800-1000rpm、自転0-10rpmでの分離を検討した結果、公転800rpmにより自転0rpmで赤血球以外の血液成分が、自転10rpmで赤血球が良好に溶出して互いに完全に分離した。また、ヒト血液でも公転700rpmで同様な分離が達成された。
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