研究概要 |
ヒスタミン関連化合物の高感度かつ高選択的なエキシマー蛍光誘導体化HPLC定量法の開発を行い,いくつかの実試料分析に対する成果を含め,以下に示す結果が得られた。 1.基礎検討による最適化:蛍光試薬の合成・スクリーニング,誘導体化条件及びHPLC条件の最適化を行い,ヒスタミン分析に関する基礎的検討を行った。さらに従来法との比較を含め,本分析法を十分にバリデートし,本法は従来の最高感度の方法より高感度で,かつ高選択的な分析法であることが確認された。 2.実試料分析(1):本法のヒト尿中ヒスタミン計測への適用について検討したところ,尿1μL中のヒスタミンが簡便かつ高精度に定量され,その定量結果は複雑な前処理を必要とする文献値と良く一致していた。 3.実試料分析(2):本法をラット血漿及び組織中ヒスタミンの定量に応用したところ,極めて簡便な前処理操作との組合せでラット血漿及び組織(臓器ホモジネート)中のヒスタミン計測が可能となった。 4.実試料分析(3):本法をラット脳微小透析試料中ヒスタミン分析に応用したところ,前処理操作を行うことなく透析液(1μL/minで10分間)中のヒスタミン計測が可能となった。さらに各種薬物と脳内ヒスタミンレベルとの相関も容易に調べることができ,神経薬理分野における極めて有益な方法論となった。 5.ヒスチジンとの同時計測:ヒスタミンとその前駆物質であるヒスチジンとの同時分析について基礎的検討を行い,各種条件を最適化により,エキシマー蛍光法によるヒスタミン及びヒスチジンの同時分析が可能なった。 以上の結果から,本誘導体化法がヒスタミン関連化合物に対する簡便,高感度及び高選択的定量法であることが示された。本法がさらに臨床診断,神経薬理等の研究へ展開していくことを期待する。
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