研究概要 |
平成14年度では、生活習慣病との因果関係が注目され酸化ストレス時にその生成が促進される強毒性物質4-HNEの細胞毒性効果に、4(S)>4(R)の立体選択性が存在することを初めてラット正常肝細胞(Clone 9)を用い検証した。さらにこの立体選択性は4-HNEの解毒代謝反応の立体選択性ではなく、4(S)-HNEの直接的な細胞毒性作用に起因することを明らかとした。 平成15年度では、4-HNEの標的組織の一つである神経様細胞(PC12)においても細胞毒性効果に、4(S)>4(R)の立体選択性が認められることを明らかとした。 平成16年度では、上記で明らかにされた4-HNEの解毒代謝とその立体選択性について、ヒト肝組織ならびに発現ヒトGST(hGST)分子種を用い検討し、ヒト肝における4-HNEの主解毒代謝反応もヒトオルトログであるhGSTA4-4によるGSH抱合であり、その立体選択性が(S)>(R)((S)/(R)=1.7〜3.1)であることを明らかとした。また、同酵素によるGSH抱合反応の4(S)-HNE優先性が、同酵素サブユニットの基質結合ドメイン中のArg-15のアミノイミノ基と4(S)-HNEの4位水酸基との相互作用に起因することを、hGST A4-4の部位変異体(hGSTA4のArg-15をLysに置換)を用いて明らかとした。 平成17年度では4-HNEエナンチオマーの生成メカニズム検討し、4(S)-HNEがリノール酸およびアラキドン酸からリポキシゲナーゼによって生成された13(S)-hydroperoxy-9,11-octadienoic acid(13-HPODE)及び15(S)-hydroperoxy-5,8,11,13-eicosatetraenoic acid(15-HPETE)よりFe^<2+>共存下で生じることを明らかとした。
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