研究概要 |
本研究ではヒトシアル酸転移酵素遺伝子群のうちα2,3-シアル酸転移酵素遺伝子ファミリーについてその発現調節機構を明らかにすることを試みた。α2,3-シアル酸転移酵素遺伝子ファミリーにはhST3Gal IからhST3Gal VIまでの6種類がある。本研究ではこれらの組織特異性や組織固有の調節機構を明らかにすることを試みた。 1.hST3Gal II, IIIの転写開始点とプロモーター構造の解析 これらの遺伝子を発現している細胞からmRNAを抽出し5'-RACE法などで転写開始点を決定した。次に、転写開始点より上流のゲノム構造を明らかにし、複数のプロモーターを有するかを明らかにした。 2.hST3Gal IVの精巣特異的転写調節機構の解明 精巣由来の細胞株NEC-8や卵巣由来の細胞株TNK-nutなどを用いてpAプロモーターの組織特異性、特に精巣特異的転写調節機構について主にルシフェラーゼアッセイを用いて検討した。そして、精巣固有の発現調節にpAプロモーターがどのように関与していることを明らかにした。 3.α2,6-シアル酸転移酵素遺伝子Iの大腸癌での発現調節機構 α2,6-シアル酸転移酵素遺伝子I(hST6Gal I)は多くの大腸癌の症例でその発現が上昇することが明らかになっている。しかし、どのようなメカニズムでこの遺伝子の発現が上昇するのかは明らかではない。そこで、本研究ではhST6Gal I遺伝子の大腸癌での発現メカニズムについて検討した。pIプロモーターの大腸癌での転写調節機構について主にルシフェラーゼアッセイを用いて検討した。その結果、大腸癌でのpIプロモーターの発現にはHNF-1結合部位が重要であることが明らかになった。
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