研究課題
基盤研究(C)
主に白血球において産生されるロイコトリエン(LT)のうち、LTC_4,LTD_4,LTE_4などのcysteinyl LTは、極微量で強力な生理活性を示し、アレルギー性疾患の進展に重要な役割を果たしている。そのため、その生体内挙動の定量的解析は、病態の把握や薬物療法の治療効果の判定に有用な情報を提供するものと期待される。cysteinyl LT産生の指標とされる尿中LTE4量の測定はこれまで様々な方法により行われてきたが、操作が煩雑であるため多検体の処理が困難で、測定値の再現性の問題などが残されており、より簡便で信頼性の高い測定法の開発が望まれている。本研究では、汎用性高いLTE_4定量法の確立を目的として、固相抽出カートリッジを用いた簡便で効果的な尿中LTE_4精製法と液体クロマトグラフィー/タンデムマススペクトロメトリー(LC/MS-MS)を併せ持ちいたSRM(Selected Reaction Monitoring)法による定量法を確立した。本測定法における検量線は10pgから10ng/tubeの範囲で良好な直線性を示すとともに、十分な信頼性と再現性を示し、測定値の日差変動も軽微であった。本法を用いるとき、小児から40才までの健常成人全例にLTE_4が検出された。小児、成人ともに喘息患者におけるLTE_4値は同年代の健常人に比して有意な高値を示し、特に成人においては気道狭窄の指標であるFEV1.0と有意な正の相関を示した。一方、同様に気管支喘息との関連性が報告されるトロンボキサン量の寄与は乏しかった。これまで、LTE_4の定量例の乏しかったアトピー性皮膚炎患者においても健常人に比して有意なLTE_4産生増加を明らかにした。特に有効治療例において産生量の減少を認め、治療効果の指標としての有用性が示唆された。しかしながら乾癬患者においても若干のLTE_4増加傾向が観察された。高感度で化合物選択性に優れ、高い信頼性と再現性を有するLC/MS-MSによる尿中LTE_4の超微量定量法を新規に確立した。また、喘息患者では健常人に比して高いLTE_4量の存在が明らかとなった。本研究により、cysteinyl LTの生体内動態の定量的解析を簡便に行うことが可能となり、従来病態マーカーの乏しいアレルギー性疾患の病態の診断・治療への応用性が期待された。
すべて 2004 2003 2002 その他
すべて 雑誌論文 (12件) 文献書誌 (12件)
Prostagrandins & Other Lipid Mediatores 73/1-2
ページ: 103-110
Proc Natl Acad Sci USA. 101(10)
ページ: 3569-3574
Proc Natl Acad Sci U S A., 101(10)
J.Chromatogr.(B) 783
ページ: 383-389
10012028609
Prostaglandins Leucot Essent Fatty Acids 68
ページ: 273-284
Mol Endocrinol 17
ページ: 1203-1215
J Chromatogr.(B) 783
Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 68
Mol Endocrinol. 17
Prostaglandins, Leucot Essent Fatty Acids 67
ページ: 51-56
Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 67