研究概要 |
在宅サービスの中で通所サービスの効果を明らかにする目的で調査を行った。調査対象者は,新潟県大和町在住で調査の参加に同意した要介護認定を受けた在宅高齢者205名である.調査項目は,基本属性,Barthel index,MMSE,GDS-15,日本版EuroQol,身長・体重,握力,筋量,血清アルブミン,血色素である.平成15年1-3月の調査で70%以上が外出せず,ADLの低下に伴って身体機能,精神機能,栄養状態が悪化する傾向があり,ADLの悪化要因は男性,握力低下,GDS-15高値,大腿筋量低下であった.通所サービス利用群で要介護度および脆弱性が高かった. 平成15年8-9月の調査の結果,要介護度の軽い群では夏期間の外出頻度が高く,主観的な身体の動きも良くなっていたが,要介護度の重度な群では季節差はなかった.身体機能や栄養状態は要介護度の重度な人ほど低下しやすい傾向淋あった.要介護在宅高齢者の血中25-OH-Dは季簾差がなかった.通所サービスの外出時の紫外線暴露量は,血中25-OH-D濃度を上昇させるには不十分かもしれない. 2年後の追跡調査が平成17年1-3月に118名の同意を受けて行われた.通所サービス利用者と非利用者の比較では通所サービスの効果は証明できなかったが,通所サービス利用頻度と血色素,血清アルブミンに有意差あるいは有意な傾向を認め,通所サービス利用頻度が栄養状態に影響を与えていることが明らかとなった.通所サービスで行われている内容を検討した結果,比較的年齢が若く認知機能が保持されている人に実施されていた歩行・移乗個別プログラムが要介護度と身体機能の維持に効果があった. 在宅サービス提供施設では冬期間で利用者や収入が減少する施設があり,降雪と積雪によるストレス得点は半数以上の施設で90点を超えていた.地域特性にあった要介護在宅高齢者へのサービスに関するさらなる研究が必要である.
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