研究概要 |
【研究目的】 本研究は療養型病床群の脆弱な高齢者を対象に移乗・移動にともなう筋力および身体バランスを高め、かつ転倒予防への自信を高めるためにEvidence-based Nursing(EBN)に基づいた、病棟生活に取り入れ可能な看護師が実施する運動プログラムを作成することであった。 【研究方法と成果】 EBNに基づいて試作した運動プログラムの内容は、(1)静的ストレッチング、(3)筋力・筋持久力運動、(4)バランス運動(足指トレーニング、固有受容性神経筋促通法の活用)、(5)整理体操であった。試作した運動プログラムは書面により同意が得られた介入群16名(対照群14名)に導入し、3ヶ月間実施した。結果、運動プログラムは,介入群と対照群の年齢,性,運動機能,知的レベル,転倒リスクに差がない状態において,筋力は向上できなかったが,移乗・移動能力の維持,重心動揺の軽減,および転倒率を減少することができ,かつ運動による損傷や発症を引き起こすことがなかった点で療養型病床群の脆弱な高齢者に有効と考えられた。そして、試作した運動プログラムの修正課題は、下肢筋力向上、上肢筋力維持または向上、転倒自己効力感の向上、精神活動の維持・向上について挙げられた。それらを踏まえてプログラム内容を修正し、同意が得られた介入群21名(対照群19名)に3ヶ月間実施した結果、プログラムの課題であった下肢筋力は向上できなかったが、上肢筋力は維持でき、転倒自己効力感は向上できたため、ある程度の修正ができたと考えられた。
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