研究概要 |
1.訪問看護ステーションを利用している脳血管障害者の療養状態と訪問看護内容.担当看護師に質問紙調査をし,脳血管障害者587人を分析.結果(1)年齢は平均78才,脳梗塞が約8割を占め,BIは37であった.発症から調査時点までの療養期間は平均7.34年であった.(2)発症から訪問看護利用までの期間は約5年であった.1年以内の利用開始は約3割.訪問看護の利用時期は在宅療養開始時期より遅かった.(3)看護内容は再発予防と対症療法的看護で廃用症候群を予防する看護は少なかった. 2.脳血管障害者の10年間の在宅療養経過の事例検討.2ケースの10年間の療養経過を訪問看護記録及び面接で収集した.結果(1)療養経過は3期に分けられた.1期は開始から約5年間で,1期は在宅で生活することが機能や意欲を改善させた.2期は6〜8年間で,2期は栄養状態の悪化や持久力の低下等を要因に起居移動動作が低下し,介護負担が顕在化した.開始から約9〜10年目で3期となり,寝たきり化した,(2)1から3期へと進行させる要因は栄養状態の悪化,転倒,火傷,失禁等の身体的要因とデイケアへの不参加,臥床時間の延長であった. 3.脳血管障害者の在宅療養開始時期におこなう初期訪問看護の特徴.訪問看護の利用を開始した263人の脳血管障害者に対し,初期の看護活動を調べた.結果(1)年齢は約75才,脳梗塞が7割.(2)発症から訪問看護の利用までは平均20ヶ月.在宅療養開始以前の療養場所は一般病院が7割.このうち約5割が6ヶ月以内に訪問看護を利用していた.(3)初期訪問看護は座位・立位訓練と廃用症候群の予防であった. 4.利用者と家族に対する初期の訪問看護でおこなう訪問看護師の気づかい.気づかいを42項目で把握し主成分分析した.結果【利用者を尊重する】,【利用者に専門的知識技術を提供する】,【利用者が成長することを助ける】の三因子を抽出した. 以上の調査から初期の訪問看護プログラムを作成する.
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