研究概要 |
糖尿病患者が合併症の発症・進展を防止することにより患者のQOLを高めるためには,発症早期からの定期受診および治療の継続が重要である。しかし、自覚症状が少ないことから、患者は受診行動への動機付けが弱く中断しやすいことが推察される。中断後の生活については、明らかにされていないことが多く、受診再開あるいは受診継続を促すためには、中断している患者の生活を知る必要があると考える。 そこで本研究は,受診を中断している糖尿病患者の受診行動に関連した療養生活体験を明らかにすることを目的とした.研究方法は,薬物療法をしていない,65歳以下の受診を中断しやすい特徴を持つ患者で,受診中断が確認された16名に承諾を得て面接調査を実施し,質的に分析した.その結果,糖尿病患者の受診中断に関連した療養生活体験は,自己管理の自己効力感が高い型,受診再開の潜在型,現実逃避型,糖尿病に関連した受診の認識不足型の4タイプが明らかになった.療養生活体験は,全タイプに共通するカテゴリーと相違のあるカテゴリーがあった.共通するカテゴリーとして受診時の<受診による糖尿病の評価><療養法を実践><受診のために仕事を調整>,受診中断の現在までに<受診システムの非効率性><指示的な医療者の対応><糖尿病の軽症感>の6つのカテゴリーであった.また,タイプによって異なる10のカテゴリーが抽出された. 受診の継続を促す看護として,受診に関連した療養生活体験の相違を理解し,対象者に応じた援助の必要性が示唆された.
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