研究課題/領域番号 |
14572282
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
臨床看護学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松坂 誠應 長崎大学, 医歯薬総合研究科, 教授 (60190435)
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研究分担者 |
寺崎 明美 福岡大学, 医学部, 教授 (50163910)
鷹居 樹八子 長崎大学, 医歯薬総合研究科, 講師 (40325676)
間瀬 由記 (間瀬 由紀) 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (60256451)
川波 公香 長崎大学, 医学部, 講師 (90241835)
安藤 悦子 長崎大学, 医学部, 助手 (20363476)
保高 由香里 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90338939)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | セルフヘルプ・グループ / 失語症者 / エンパワーメント / 失語症者の生活体験 / 専門職の役割 / 失語症者家族 / 友の会 / ST / 失語症 / 生活再構築 / 自己受容 / 居場所感 / セルフヘルプグループ / 生活体験 |
研究概要 |
1.目的:(1)セルフヘルプ・グループ(Self Help Group以下SHG)に参加している失語症者の主観的体験から、失語症がライフスタイルや生活に及ぼす影響とその認知を明らかにする。(2)失語症者がSHGに参加後のエンパワーメントの過程を明らかにし、エンパワーメントの促進要因・阻害要因をみいだす。 2.方法(1)対象:SHG参加者で発症後5年以上の会員のうち面接協力が得られた42名。(2)方法:Strauss(1984)の病みの軌跡等を概念枠組として、独自の半構成的インタビューガイドを作成した。プレテストを経て項目を修正後、面接調査を実施した。面接内容は発症時から現在までの<失語症に関する出来事と反応><失語症の理解><参加のきっかけ><グループとの関係>等で構成した。 3.調査期間:平成14年12月から17年5月 4.分析方法:許可を得て面接内容を録音し、逐語録を基に質的帰納的分析を行った。 5.倫理的配慮:所属施設の倫理的諸手続をとり、グループ代表者及び面接協力者に研究の趣旨などを文書ならびに口頭で説明して承諾書を得た。 6.結果・考察(1)失語症者の生活体験:失語症者の生活体験として51カテゴリー、11局面が導かれた。障害の認知は[言葉が出ない][混乱][会話困難感]に集約される、生活と社会的交流における思いは[言語訓練と継続][回復への信念][回復の肯定][割り切り][障害にあわせた生活][生活の継続][セルフヘルプグループを通した活動][自己価値の肯定]であった。これらすべてにかかわる体験として《とりもどし(言語・生活・自分らしさ・関係性)》が抽出された。失語症者の体験は、発症から現在まで自己の内面と生活の中でゆれながら流動的に変化し、最終的に価値の転換が生じる長い過程であると考えられた。SHG参加によるエンパワーメントの過程では、11カテゴリーからなるエンパワーメント過程、4カテゴリーの促進要因、3カテゴリーの阻害要因が存在した。SHGに参加すると[対話]が始まり、自己理解の深まりとともに[障害と生活を理解]し、[役割モデルの獲得][仲間意識の高揚]に伴い、[役割遂行]という[行動]が現れた。これらは、仲間との交流を通した[新しい自己の発見][生きる力の獲得]に結びついていた。促進要因の[自尊感情の尊重][コントロール感][経済的基盤の確保][役割遂行]は、自分がいてもよい場あるいは自分らしくいられる場という認知を得ることができる状況である。阻害要因からは、健常者との関係を保つことの困難性が伺え、失語症者の社会的関係範囲は、非常に狭いといえる。その少ない交流対象者からの評価は、自己意識に直接的に影響することが明らかになった。
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