研究概要 |
本研究では,ブラックタイガーにおけるオキシテトラサイクリン(OTC)及びオキソリン酸(OA)の体内動態及び残留特性を明らかにすることを目的とし,さらに,加熱調理がエビ体内に残留している薬物に及ぼす影響について検討し,以下の結論を得た. 1.両抗菌剤ともサイナス内投与後の動態は2-コンパートメントモデルによって解析され、以下のモデル式が得られた. OTC:Ct=35.4・exp(-3.5303・t)+10.6・exp(-0.0429・t) OA:Ct=9.96・exp(-0.8252・t)+3.88・exp(-0.0391・t) 2.経口投与後の残留OTCは筋肉において投薬後10時間に最高濃度(5.09μg/g)を示した.最高濃度以後,OTCは減少し,投与後120時間で残留基準値(0.2ppm)以下になった.一方,殻においては投薬後120時間まで高濃度で推移し,その消失相は認められなかった.筋肉における消失相の半減期は22.0時間と算出された.また,その消失曲線より我が国の残留基準値(0.2ppm)に達する時間は112時間(4.7日)と算出された.一方,経口投与後のOAは投薬後4時間に筋肉及び殻ともに最高濃度(筋肉:1.76μg/g,殻:8.17μg/g)に達した.最高濃度以後,両組織ともOAは減少し,それらの濃度は投与後96時間で筋肉0.016μg/g及び殻0.282μg/gにまで減少した.それらの消失半減期は筋肉で20.2時間及び殻で21.9時間であった.OTCのバイオアベイラビリティは35.6%と算出され,血リンパ蛋白結合率は49.0±7.6%(n=11)であった.一方,OAのバイオアベイラビリティは7.9%と算出され,血リンパ蛋白結合率は66.2±10.5%(n=12)であった. 3.残留OTCは筋肉で,茄でる及び揚げるの加熱操作により50〜60%程度減少し,焼くについては30〜40%の減少がみられた.しかし,殻についてはいずれの加熱調理においてもその分解消失は20%程度にすぎなかった.一方,残留OAは茹でる,焼く,揚げるの加熱調理により筋肉及び殻とも20〜30%消失したにすぎなかった.また,OTCについては12分間茄でることより残留濃度を80%程度まで減少させることができたが,OAではその減少率は50%程度であった.したがって,通常の加熱調理による残留OTC及びOAの減少は期待できないと考えられた.
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