研究概要 |
本研究はバーチャルリアリティ技術を活用する旋盤操作技能教育・訓練用シミュレータの開発を目的としている。まず,実機の高速旋盤をモデルとして,操作者に実機旋盤の操作と同等な視覚的,聴覚的,力覚的及び触覚的な操作感覚を総合的にリアルタイムで提示できるシミュレータを開発した。開発したシミュレータを工業高校の教員,中学校技術科教員及び教員養成大学技術コースの学生に提供し,使用した感想や意見を寄せた。次に,これらの意見を考慮に取り入れ,教育現場の実用に向けて,シミュレータの性能改善と新たな機能開発を行った。本研究で開発したシミュレータの主な機能と特徴は次の通りである。 1.縦送り,横送りおよび心押し送り系が揃い,外丸削り,端面削り,突っ切り,穴あけなどの模擬切削を行うことができる。また,「部品加工」モードでは,複合切削作業によって,予め定められた部品の模擬製作ができる。 2.模擬切削を行う際に,実機旋盤と同様な作業効果音と,切り込みや送り速度に対応するハンドル操作の力覚を提示する同時に,操作者のハンドル操作に合わせて,ディスプレー上に主軸と工作物の回転運動及び工具の送り運動を動画的に表現する。 3.効果的な安全教育及び操作技能の指導を与えるために,チャックハンドル抜きやバイト刃先の高さ調整など,初心者の旋盤操作における重要な操作マナーのチェック機能,及びバイトと主軸チャックの衝突やバイト損傷などの危険操作に対する警告機能が組み込まれている。
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