研究概要 |
「教育の情報化」の推進にともなって,中学校・高校の数学の授業の中で,特にプレゼン的な使い方によるコンピュータ利用の可能性が高まってきた。しかし,多くの数学教師は,効果的なプレゼン的な使い方のノウハウをもっていないことが分かった。そこで本研究では,単にノウハウのリストを明確化するだけでなく,教員養成や現職教育の中で効果的に利用可能なコンテンツを開発することもめざして研究をおこなった。そのため,本研究では,撮影した多くの授業ビデオを効率的に分析するとともに,その資料を再利用するためのツールとして,J-Editor(授業記録エディタ)を開発した。そして,WebやCDによって,授業の要点を簡単に眺めたり,当該ビデオクリップを参照したり,そのビデオクリップに対して字幕が提示されるような方法論を確立した。それらを利用して,作図ツールを利用した授業に関して15本の授業ビデオをライブラリ化するとともに,多くの中学校・高校教師に議論していただいたり,学部の授業(数学科教育)の中で学生に試用させ,それを参考に指導案を作成することなどをおこなった。それらの議論をふまえて,テクノロジー(特に作図ツール)を利用した授業の形態として,(1)解説,(2)問題提示・議論,(3)課題分割型グループ別探究,(4)グループ別/個別探究,(5)コラボレーション,(6)スキル学習,(7)個別学習が想定されるとともに,それぞれの授業の中での教授方略は,チョークアンドトークの伝統的な数学の授業とは異なるものが多いことが明らかになった。
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