研究概要 |
本年度は,まず,ストレス対処の実践ビデオを使用して,小学生237名を対象に適切なストレス対処行動獲得に向けての実践教育を行った。実際には週1回,朝の体操の時間にビデオを見ながら計4回実践した。その結果,実践後の不安得点が低くなり,リラクセーションについての到達度,爽快度,理解度の程度も高くなり,小学生に対する実践教育に効果があることが示された。 次いで,高校生1028名を対象にして、,セルフエスティームと日常ストレス・対処行動・自覚症状との関連を追究した。その結果,日常ストレスの中では「自分の将来のことで悩んだ」が73.2%と多く,影響の最も大きかったストレスは「自分の大切なものを失ってしまった」の88.0%であり,ストレス対処行動では,「信頼できる人に相談する」が84.0%と多かった。セルフエスティームの高い者は積極的対処行動が多く,セルフエスティームの低い者は消極的対処行動が多かった。また,セルフエスティームの高い者ほどストレス個数やストレス得点が低く,セルフエスティームの高い者ほど自覚症状が少なく,セルフエスティームの高い者はうまくストレスに対処していることが窺えた。以上の結果が示すように,高校生において日常ストレス・対処行動・自覚症状とセルフエスティームとの関連を確認することができた。今後,高校生の好ましいストレス対処行動獲得への支援にはセルフエスティームを高める視点からの教育指導の具体的方策の確立が急務であることが示唆された。
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