研究概要 |
ギルフォードの研究をもとに創造性の因子である,拡散性,論理性,積極性,独自性・独創性,集中性・持続性,収束性,精密性,探求力に関しての創造的態度を調べる評価用具を開発した。また,形成的に創造的態度の評価を行うことで,テレビ会議システムを利用した授業が創造的態度の育成に寄与したか否かを調べられることが確かめられた。 新たな教育内容として,画法への数学的接近,フラクタル幾何,地球と太陽の幾何が開発され,遠隔協同学習(以後DL)が実施された。また,小・中学校一貫カリキュラムを提案し,実験授業を行いこの妥当性と有効性が確認できた。 高校2・3年生を対象にした日・中DL「数学と絵画」では,中国側の生徒における創造的態度に著しい伸長が見られた。生徒自らが独自のテーマを解決する学習形態を採ったことにより,生徒にとって自由な発想を生かせる学習となったことに起因すると思われる。 高校1年生を対象にした日・タイDL「自然と数学-フラクタル幾何-」では,日本側は独自性と積極性が育成されたが,探求力と独創性を育成することは難しく,生徒自身が課題を見つけ出すような教材と授業が必要であることが示唆された。タイ側はクラスの生徒全員の創造性を育成することは難しかったが,一部の生徒の創造性が育成されたことが確認できた。この両国の差は,タイ側での授業時間の不足と両国の英語コミュニケーション能力の不足にあると考えられる。 中学3年生を対象にした日・タイDL「地球規模で考えよう-日時計と三角比-」では,日本側は精密性が育成され,交信授業が通常の授業よりも創造性の育成に寄与し,特に積極性と論理性でそれが大きいことが示された。また,交信授業への慣れが,授業内容の理解や英語の理解につながっていくことが示唆された。
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