研究概要 |
学校現場において,意図的,計画的な教育の実施には,指導計画書の作成がきわめて重要である.しかし,学習指導計画書には慣習的な形式はあるが,統一的な記述形式は存在しない.このことは,詳細な指導計画書を必要とする経験の浅い教師や教育実習生が,自ら記述項目のもれがなく整合性のとれた高品質な指導計画書を作成することを困難にしている.さらに,指導計画書のデータベース化の推進を困難なものにしており,指導計画書を用いた教師間における教育手法の共有・再利用が十分に行えない現状がある. そこで本研究は,高品質な指導計画書の作成を支援すること,さらにそれら指導計画書のデータベース化を行い共有・再利用の支援を行うことを,目的とする.本研究における「高品質な指導計画書」とは,指導の流れが明瞭で理解しやすい構造であること(明瞭性),記述項目に落ち度がない,記述項目間の出現順序や対応関係に矛盾がない整合性がとれた構造であること(健全性)を満足する指導計画書を指す. 目的を達成するために本研究では,指導計画書の記述項目と形式を統一化し,形式言語を用いて指導計画書の枠組みを記述するための言語(MelaTep : Meta-language for describing Teaching plan documents)を開発した.さらに,MelaTepに基づいた指導計画書の作成とデータベース管理の統合支援システム(Tepports : Teaching-Plan-Making Support System based on MelaTep)の開発を行った. Tepportsの実践・評価から,MelaTepに基づいて作成された指導計画書は明瞭性・健全性を保ち高品質が保証されること,さらにデータベース化により,指導計画書の共有・再利用の実現の容易を示した.
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