研究概要 |
本研究では,子どもが自ら探求して共同で知識を創り出していける新しい授業づくりと学習指導法を明らかにした。この授業で用いる学習環境システムの開発に関しては,動的リンク機構のWeb上への拡張,タグづけによる柔軟なWeb-DB連携学習環境システム構築の方法論と,学校教育に有効なシステム開発のあり方を示した。開発した学習環境システムを活用した新しい授業方法を提案し,小・中高等学校の総合的な学習の時間や既存教科で探求と知の共有化のための授業を実践し,次のような成果を得た。 1 ヴィゴツキーの最近接発達領域論の考え方に基づいて,学習を人と人の間あるいは人と学習環境との間のコミュニケーションや相互作用によって言語や学習環境上の情報を媒介にして協調関係を構築していく過程と考え,コミュニケーションによる知の共有化を支援する機能と学習環境との関係を明らかにし,学習指導と授業設計の方法を確立した。 2 情報社会における学習環境に求められる知の共有化と協調活動を支え,学習者どうしならびに学習者と教師とのコミュニケーションを支援するために,学習過程において学習環境システム内に生成される情報への意味付与に関して,タグづけによる新しい方法を開発した。また,この方法により可能になる新しいコミュニケーションの形を明らかにした。 3 コミュニケーシヨン機能の開発について,ハイパーリンクによる意味表現機構を用いた「複数の表示切り替え機能」,「コミュニケーション機能」,「他の学習者とのマッチング機能」,および「思考の可視化機能」をネットワーク学習環境システム上に実装した。 4 平成14年度および平成15年度の授業実践について授業の展開と成果をまとめ,データベース用にディジタル化した。
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