研究概要 |
近年,ネットワークの普及に伴い,多くのテレビ会議システムが実用化されている.遠隔教育や遠隔共同作業・遠隔協調学習はその代表的な利用方法であるといえる.最近ではリモートカメラを利用したTV会議システムも開発され,認知的教授学習理論の観点から遠隔教育における教育効果の向上が期待されている. 認知的教授学習理論におけるコミュニケーション評価では,一般にプロトコル分析が広く用いられている.分析の対象になる行動は広く,言語のやり取りから音に対する反応など様々な行動に注目して分析が行われる.その中に,参加者が「どこを」・「なぜ」・「どのぐらい」見たのかといった視覚的な行動がある. 一方,プロトコル分析では遠隔協調作業の実験時の様子をVTRなどを用いて記録しておき,その後,その記録を何度も再生しながら参加者の詳細な行動分析が行われる.これらの作業には多くの時間と労力が必要であり,現在,課題となっている. 本研究ではこの課題に対して,ネットワーク制御可能なリモートカメラを利用したTV会議システムにおけるカメラのパンやチルト,ズーム率の変化とその映像を,参加者の視野として記録し,その記録から参加者の視覚的行動を容易に検索・再生できる"Visual Field Record System"の開発を行うことでアプローチした. さらに,開発したシステムを遠隔教育実習指導に適用することで評価した.分析対象は,教育実習を遠隔からリモートカメラを使って覗き見ている大学教官である.その結果,本システムにより,教官の特徴的な視覚的行動を円滑に抽出できることが明らかとなった.
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