研究概要 |
本研究は,力学を対象とした学習教材を作成し,Web上に学習環境を構築することを目的とする。本学習環境は,学習者が主体的に学ぶことのできる力学シミュレータと学習者の疑問点を解消する共同学習環境,学習者の獲得した知識を定着するWeb問題集からなる。 平成14年度は,具体的なテーマとして「モンキーハンティング」と「単振り子」を取り上げ,力学シミュレータをJava言語で開発した。これらは,学習者が初速度や長さといった物理量を自由に変更しできるマイクロワールドである。また,学習者の自習を補助するため,グラフ描画ツールと数式計算ツールも開発した。さらに,共同学習を支援するための掲示板やWebチャットも提供した。 平成15年度は,扱うテーマを増やし,掲示板に対する類似質問の書き込みを軽減するため,掲示板の過去ログから類似質問を自動検索する機能を付加した。また,学習時に人間の共同学習者がいなくても擬似的に共同学習ができるよう,擬似共同学習者(エージェント)との人工知能チャットも用意した。以上の試作環境において,学習者は力学シミュレータを用いた主体的な学習ができ,掲示板等のコミュニケーションツールを用いた共同学習者との議論により,疑問点の解消や思考の偏りを軽減できる。 平成16年度は,Web物理問題集を試作した。本問題集は,通常の印刷された問題集に基づいて各問題を学習単元と難易度で分類している。また,問題文をフリーキーワードによる検索機能,教師の問題登録機能,学習者の問題投稿機能も備える。さらに,問題ごとに,コメントを書き込むことができるため,学習の記録を残すことも可能である。学習の最終段階に,本問題集を解くことでシミュレータによる学習や共同学習者との議論によって得た知識の確認と定着が期待できる。
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