研究概要 |
前年度に新規開発した実験用コンピュータプログラムを利用して,本年度は,その評価実験を実施した。本システムは,個々の学習者の履歴を管理し,学習者毎に別個の問題データベースを管理することで,学習中の正答率を正確に制御することができる。最初の実験は,私立進学校に通う成績優秀な中学校1年生6名を対象に,コンピュータ画面に日本語を提示し,それに対応する英単語をタイプする形式で綴り学習を1セッション15分おこなわせた。セッション中の対象者の正答率に応じて,正答率を20%に維持した低正答率条件では,未習得の単語の提示比率を高め,正答率を70%に維持した高正答率条件では,習得済み単語の割合を高くして,両条件を条件交替方により変化させた。その結果,累積習得単語数,提示単語のうち習得した単語の割合,1単語を習得するのに要したセッション数,実験後の維持テストの成績,の4つの指標全てにおいて,高正答率条件が低正答率条件より優れた成績を示した。次の実験は,学習時の正答率に加えて書き写し練習の回数を統制して,実験1とは別の中学生4名を対象に実施した。学習時の正答率が高い方が学習が促進される点については,実験1を再現したが,練習回数との関係は明瞭ではなかった。そこで,大学生を対象に再度追試実験を実施した。その結果,訓練時の正答率を約70%に制御した条件と,20%に制御した条件を比較すると高正答率下の方が単語習得数が多く,それは単語書き写し練習の回数には影響されないことが明らかになった。
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