研究概要 |
知的機能,視覚機能,運動機能などにつまずきのある児童の中には,およその字形は表現できるものの,必ずしも正しい字形で文字を書くことができない子どもたちが少なからず存在している。本研究は,これらの課題を抱える子どもたちに適用可能な書字指導プログラムの作成を目指して,書字行為に関連する諸機能の状態を評価し,その結果を学習支援に反映させていくための基礎的研究を行うことを目的とした。また,研究過程において,対象児童の中に文字学習そのものへの動機づけがなされにくい者が多くみられたため,そのための支援策についても試行的に検討した。なお,研究成果はSecond International Luria Memorial Conference(モスクワ)や日本特殊教育学会等において公表した。 本研究期間内では,主に次のような内容について検討を行った。 1.誤字の修正を促すための小学校での一斉指導における配慮事項について検討した。 2.知的障害児に対する定期的な指導を通して,平仮名,片仮名,漢字の書字行為に見られる発達的変化を継続的に分析した。特に,誤字を自己修正していく機能の獲得過程について詳細に検討した。 3.養護学校に在籍する知的障害児を対象として,学校,家庭,大学が連携をとりながら,獲得した文字を生活の中で使用していくことができるようになるための学習支援方法について検討した。 4.視覚障害児に対する定期的な指導を通して,書字における視覚機能の役割について継続的に分析した。特に,拡大読書機を使用して文字を書く際の目の使い方及び筆記用具の使用状態について検討した。 5.低年齢の子どもにおいても筆圧を的確に測定するために,新たな筆圧記録装置について検討した。
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