研究課題/領域番号 |
14580294
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教科教育
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
吉川 幸男 山口大学, 教育学部, 教授 (40220610)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 歴史学習 / 固有名 / 歴史理解 / 歴史授業 / 歴史学習指導 |
研究概要 |
本研究の果は、次の3点である。 第一は、特に1960年代以降主流となった中等段階でのいわゆる通史的構成の歴史学習における「固有名」の取扱いに関して、以下の問題性が明らかになったことである。これまで歴史学習における「固有名」の取扱いは、学習者の「興味・関心」を喚起するための方法や、構造的な内容の学習のための事例などという手段的な位置付けに置かれ、歴史学習で「固有名」を学ぶこと自体の意味内容やその指導に関して積極的に語られることはなく、結果的に「固有名の洪水」などと批判される中等歴史学習の状況を助長してきた。 第二は、歴史学習で「固有名」を指導することそのもののに、歴史理解、歴史認識の形成に関わる本質的な契機となる指導領域が存在することが明らかになったことである。それは、(1)「名辞」の成立過程に関する領域、(2)「指示物」(歴史的事象)の切り取り方に関する領域、(3)「意味」の形成に関する領域、という3つの固有の領域である。これらはいずれも、学習者の歴史理解に関する本質的で原理的な契機を含んでいる。 第三は、上記それぞれの指導領域において、現段階で可能な指導方略と検討課題を明らかにする過程で、「固有名」の学習指導に共通する指導方略と課題が明らかになったことである。それは以下の3点に集約される。すなわち、(1)「固有名」の指導には、学習者の日常的な社会的問題関心や現代社会の諸問題に対する追究視点が欠かせない。(2)「固有名」の指導には、一定程度の普通名の指導が前提になり、普通名に関する能力が欠かせない。 (3)「固有名」の指導には、「固有名」を有する複数の事象の対比が有効であり、複数事象の対比による事象間の差異性をとらえることによって「意味」が明らかになり、それを表す適切な「名辞」の理解や提起にも発展する。
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