研究概要 |
本研究は,子どもの日常的社会認知に見られる遊動的な発達のメカニズムを解明することを目的としている.遊動的発達とは,ある問題に対する子どもの反応が,加齢に従ってリニアに進展していくのではなく,正反応と非正反応の間を「行きつ戻りつ」しながら遊動する発達のことを指している。本研究では3年間の追跡調査によって,遊動的発達の機序を明らかにした. その結果,次の各点が明らかになった. 1)子どもの判断の背後にルールがある 2)そのルールの適用に揺らぎが存ずる 3)そのルールが統合化されていく契機は確かめられなかった 本研究によって,子どもの日常的文脈における社会判断の遊動性のメカニズムを,判断の準拠ルールの適用の恣意性として跡付けることができた.この成果は,以前提示した「準拠価値基準の複数鼎立仮説」(福田,2004)を裏付けるものである.
|