研究概要 |
本科研では,研究分担者の松下および研究代表者の玉岡が,中国の北京で中国語系日本語学習者を日本語能力に応じて3グループに分け,日本語の接辞を基にして造語力を測定した.松下と玉岡が,このデータを接辞と日本語能力で分析した.また,中国語での造語力も同時に測定した.日本語と中国語での漢字熟語の造語力を同じ学習者で直接に比較する分析も行った.その結果,日本語の漢字熟語の造語力が,日本語能力テスト得点を非常によく予測することが分かった.単純な他の言語での造語力であるが,その能力が日本語全体の能力と強く関係していることが分かった.また,漢字のデータベースの構築した.研究分担者の牧岡が,漢字の意味的ネットワークを簡潔に表しうる指標として,語彙コーパス(天野・近藤,2000)を使って常用漢字1,945字についての漢字二字熟語の「エントロピー」と「冗長度」を算出した.研究代表者の玉岡は,牧岡が算出する漢字の新しい指標を漢字データベース第2版(2001年版,Tamaoka, Kirsner, Yanase, Miyaoka & Kawakami,2002に詳細を報告)を基にして,2003年に第3版,さらに「対象性」と「意味の多様性」を加えて第4版を2004年1月に完成した.漢字データベースは,第2版から第4版まで,玉岡のホームページ(http://home.hiroshima-u.ac.jp/ktamaoka/)に掲載しており,世界中どこからでもダウンロードできるようにした.
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