研究概要 |
人間の知的生産活動のひとつとして形状創成,すなわち,「かたちづくり」がある.人間が持っ形状に関するイマジネーションを具体化する手段として,実空間では古代から「彫刻操作」,「ねんど細工」そして「言語指示」などが用いられてきた.本研究では,コンピュータを用いて形状と画像の創成・合成を行うためのマルチモーダルな知的マンマシンインタフェースを構築することを目的とし,人間と仮想空間におけるインタラクションを通じて,[1]仮想彫刻による形状モデリング,[2]仮想粘土細工による形状モデリング,[3]言語指示による形状モデリング,の3つの形態の形状創成について検討した.本研究で扱った形状創成とは,機械CADなどのような製品に直接結びつく(金型データなどのような)最終目的形状を生成することが目的ではなく,その前段階などにおけるプロトタイプデザイン過程の発想支援を主たる目的とするものである.またさらに,仮想彫刻を基盤技術とした画像合成技術として.[4]仮想版画とその応用(特に浮世絵の知的符号化)について検討した.仮想彫刻システムで作成された仮想版木と仮想紙,仮想インク,仮想ばれんなどを用いた仮想空間における摺り操作により画像を合成するものである.すでに基本技法は確立していたが,本研究ではより詳細な検討とその具体的対象として浮世絵の知的符号化の検討を行った.さらに,木版画を意図した本研究成果に基づいて,欧州で広く知られている銅版画にも応用を試みた.銅版画は木版画とは相反する凹版技法であるが,その基本的アイディアは源流を一にしている.銅版画の製版工程のバリエーションとしていくつかあるうち,エングレービング,ドライポイント,メゾチントにっいての検討を行った.
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