研究概要 |
平成14年度は,擬人化エージェントと人間のインタラクションの設計,マインドマッピング,相互読心ゲームの設計を行った.枠組みの設計は,代表者の山田が,マインドマッピングの定義,相互読心ゲームの設計は,分担者の山口がそれぞれ分担して行った.人間と擬人化エージェントが観測できるのは,互いに相手の(基本)表情であるため,表情からマインド状態を推定する,マインドマッピングの学習が相互に必要になる.人間と擬人化エージェントの学習目標は,相手のマインドマッピングである.よって,それを通じてお互いが相手のマインドマッピングを学習できるインタラクションの設計を行い,PC上に実装した.また,被験者実験により,相互読心ゲームを通して,マインドマッピングの相互学習が実現されることを確認した. 平成15年度(最終年度)は,その枠組みの洗練とそれを用いた評価実験により,相互学習が円滑に効率よく実現できるようなインタラクション設計の指針を提案した.具体的には,まずこれまでは固定されていたエージェントのマインドから表情へのマッピングを,人間とのインタラクションを通して修正していくメカニズムを導入することで,エージェントから人間への適応を促進する方法を実現した.これにより,相互学習の対称性がうまれ,より直観に沿った相互学習が実現される.その反面,人間とエージェントの学習結果が相手の学習に影響を与えるという,「適応干渉」が生じる.従来は,この適応干渉を回避するアプローチが多かったが,我々は,人間とエージェントのように,その適応能力に極端な偏りがある場合は,適応干渉をまったく排除するのではなく,適度に許す場合が,相互学習が最も有効に実現されるという仮説を提案した.これらの枠組みの拡張により,エージェントと人間の相互学習の促進がこれまでにない方法で実現され,かつその枠組みの有効性を示すことができた.
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